【実録】坪単価だけで家を選ぶな!注文住宅の総費用に含まれる“隠れコスト”とは?

【はじめに】「坪単価が安い=お得」は大間違い
「本体坪単価70万円」「30坪で総額2,100万円」…このような広告を見て、「この会社は安い!」と感じた経験はありませんか?知人からの紹介だから安くなっているはずだから!なんてことはありませんか?
このように判断してしまうのは大変危険です。実際に家を建てるには、坪単価に含まれない多くの“隠れたコスト”が存在します。
実際に契約段階まで進むとこの金額以外のものが乗っており「総額2,700万円!坪単価にすると坪90万円になる!」ということをよく見かけます。
最近では地盤改良が無料ですという会社が増えてきていますが、ほんとに無料でやってくれると思いますか?その費用は夢のごとく消え去るのでしょうか?いったいどこに!?
お客様は素人の為、住宅会社の営業マンが今月はキャンペーン期間です!決算ですから!〇〇万円サービスしますよ!!なんて言われ、蓋を開いたら坪単価90万円。こんな信じられないような提案をお客様はお得になっていると信じてしまいます。
この記事では、実例を交えながら、注文住宅の総費用に含まれる見落としがちな費用項目を徹底解説します。最終的に「こんなにかかるとは思わなかった…」と後悔しないために、必ず押さえておきたいポイントをお伝えします。もっとコストパフォーマンスが高い会社がありますよ・・・。
【基礎知識】そもそも「坪単価」とは?
■ 坪単価の定義とは
坪単価とは、住宅の建築費用(本体工事費・諸経費等を含んだ総額)を総施工面積で割った数値を指します。
例:総工事契約価格2,700万円 ÷ 延床面積30坪 = 坪単価90万円
ただし、ここで注意すべきは、「本体工事価格」を建物の価格として説明している会社がとても多いことです。本体価格とは家を建てて住めるようにするためのすべての費用が含まれていない、ただの箱の状態であるということです。
■ 本体単価に含まれない費用とは?
本体単価に含まれない代表的な費用には、以下のようなものがあります:
- 地盤改良工事費
- 外構工事費(カーポート、庭、フェンスなど)
- カーテン工事費用
- 設計料や確認申請費用、その他各種申請費用
- BELSなどの性能証明書発行費用
- 上下水道施工費用
- 屋外給排水工事費用
- 各種登記費用
- 火災保険・地震保険
- ローン事務手数料・保証料
- 収入印紙代
これらはどの会社でもすべて別途発生するため、坪単価だけで比較すると大きな落とし穴にハマるリスクがあります。
【見落としがち】注文住宅における“隠れコスト”とは?
1. 付帯工事費(本体工事以外の必須費用)
家そのもの以外に発生する工事費用を「付帯工事費」と呼びます。例として:
- 仮設工事(足場、仮設トイレ、仮囲いなど)
- 地盤調査・地盤改良工事・保証費用(建物の保険に入るため必要不可欠)
- 屋外給排水工事費用(建物の外部の水道や排水の配管施行工事)
- 解体工事(建て替えの場合)
- 電気・水道・ガスの引き込み工事(土地によってない場合はものすごく高額)
- 外構工事(塀、門、駐車場、植栽など)
これらは建築に必要不可欠ですが、本体単価には含まれていないことがほとんどです。
➡ 平均的に300〜500万円ほどかかることがあります。
2. 諸経費(行政契約・保険などの事務コスト)
諸経費には、建築手続きやローン契約にかかるさまざまな費用が含まれます。
- 設計料や確認申請費用、その他各種申請費用(住宅を建築する際は必ず必要)
- BELSなどの性能証明書発行費用(税制優遇やローン金利優遇などに必要)
- 設計料(設計事務所としての設計費用として計上)
- 登記費用(所有権移転・保存・抵当権設定など)
- ローン事務手数料・保証料(注意:ローン審査の為に住宅会社より費用を求められたらそれは詐欺です)
- 火災保険・地震保険料
- 引っ越し費用、仮住まい費用(建て替えの場合)
➡ 合計で200万〜300万円前後の出費になることが一般的です。
3. オプション工事(グレードアップに必要な費用)
標準仕様では満足できず、さまざまなオプションを追加することがあります。
- 床暖房、太陽光発電、蓄電池
- 食洗機、宅配ボックス、タンクレストイレ
- システム収納や造作家具
- ハイグレードなキッチンやユニットバス
- トリプルガラスや無垢材など高性能建材
- ➡ オプションを重ねていくと300万〜500万円以上になることも。
【実例紹介】思わぬコスト増加で予算オーバーに
ケーススタディ:Aさんご家族の場合
- 延床面積:35坪
- 本体価格坪単価ベース:2,450万円(坪単価70万円)
追加された“隠れコスト”
- 付帯工事費:400万円
- 諸経費:180万円
- オプション:570万円
➡ 最終的な総額:3,600万円(実質坪単価 約102万円)
「思っていたより高くなってしまった…」と後悔したAさん。総費用の把握が不十分だったことが原因でした。しっかりと会社比較を行わなかったために起こった悲劇です。
【チェックリスト】後悔しない会社選びのポイント
1. 見積書に内訳が明確に記載されているか?
- 「本体工事費」「付帯工事費」「諸経費」「オプション」が分かれて記載されているか?
- 「一式」表記が多すぎないか?
- 総額表示での諸経費などを含めた「総予算書」にて比較する必要があります。
- ほとんどの場合、建物を安く見せるために契約に含まれる諸経費を別に記載していることが多く、資金計画書の段階でオプション予算として〇〇万円を計上するような悪徳な会社も存在します。
- ぼったくられているかを確認するには「地盤改良工事」の費用をみると明らかです。
- 「地盤改良工事」は契約後に地盤調査を行い、改良の有無を判断したうえで金額が提示されます。
- そのため、高額であっても断ることができません。
- 総予算書に記載されている地盤改良工事の費用が100万円を超えるような金額を記載してあると、もし地盤改良が出るとその金額近くが請求されます。最近では130~180万円と記載してることが多く見られます。つまりは、最初にこれくらいするのですよと布石を打ってきます。同じような改良工事なのに雲泥の差が発生します。この部分は住宅会社にとってはとても美味しい部分なのです。
2. 契約前に「総額」の説明をしてくれるか?
- 坪単価ではなく「引き渡しまでに必要な総費用」を提示してくれるか?
- 金額だけでなく、内容について丁寧な説明があるか?
3. 標準仕様のグレードが明確か?
- 必要な設備が標準で含まれているか?
- オプション扱いが多すぎないか?
- 標準仕様書を見ることでどのような住宅設備が標準なのかがわかる。
➡ このチェックリストをもとに住宅会社を見極めれば、後悔を防ぐ確率が格段に高まります。
【まとめ】坪単価ではなく“総額”で比較せよ!
住宅は人生最大級の買い物。
「坪単価が安いからお得」という判断は、家づくりにおいて最も危険な落とし穴のひとつです。家は住める状態にするまでにさまざまな費用がかかります。価格だけでお得な家を建てたと思っても性能の低い家は建築後に高額な費用負担が発生します。住宅会社は売れればよくて、お客様の生涯コストなんて考えていません。つまりはこの「生涯コスト」を説明してしまうと買ってもらえなくなるため説明しません。お客様がきちんとした判断する視点を持つことが大切です。
覚えておくべき3つの鉄則:
- 坪単価はあくまで“目安”でしかない
- 住宅の総費用は、付帯工事・諸経費・オプションを含めて必要予算総額で考える
- 見積もりは必ず「総額」で確認し会社毎に金額の提示の方法の違いを確認すること!
- なにはともあれ家の費用とは「生涯コスト」で判断しないと大きく失敗する!
- 断熱性能や耐震性、耐久性能の違いでメンテナンスコストや毎月のコストが違うことを認識する!
最終的に重要なのは、「その家に住むためには生涯全体でみるとコストはいくらかかるか?」という視点です。
安かろう悪かろう、安物買いの銭失いにならないようにしっかりとした判断基準を持ってください。
注文住宅は「坪単価」で選ぶ時代から、「総額」と「生涯コスト」で選ぶ時代へ。あなたの家づくりが成功するよう、正しい情報と判断軸を持って臨みましょう!